建て方

現場を清める
 工事の安全を願い、土台の4隅に塩、水、酒、米を蒔き、現場を清めます。

大黒柱を建てる
 クサマキ(地ヒバ)丸太の大黒柱に土台を組み込みます。
 差し込んだ土台を基礎に設置した土台に差し込み、シャチ栓を叩き込んで、更にアンカーボルトで固定します。

 こうして施工した大黒柱は、ガッチリと自立してしまいます。

通し柱を建てる
 通し柱も大黒柱と同様に、土台を差し込み、立てます。
 通し柱は土台よりも1段低い位置から始まり、その横から土台が差し込まれる構造となっています。
 昔の基礎は石の上に柱が建てられ、その脇から土台が刺さるという構造で、何百年と耐えてきたものです。

 今回は、伝統的なサシ構造を再現しているので、通し柱2本をサシでつなぎ、一気に立てています。

通し柱の固定
 通し柱に差し込んでいた土台を基礎に固定します。

大黒柱の周りの構造
 大黒柱に2方から梁を渡します。
 ここまでの構造材はほとんどが古民家材で、断面が反ったり、全体に曲がったりしています。

 大黒柱とサシで囲まれた和室の部分を結び、ガッチリとした構造となります。

階段室周り
 和室から伸びる受け材は階段室の部分となります。
 梁と柱を組み上げてから、起こして接続します

台持ち継ぎ
 古材と古材を接合するのに「台持ち継ぎ」を採用しています。
 お互いに斜めに加工した古材を組むと、色は違っても1本の材料の様になります。

 このような伝統仕口を所々に使っています。

扇渡りあご
 基本的に、横の梁と縦の桁を接合するのは渡りあごですが、外部とのからみで、扇形にして外に出る長さを短くする工夫をしています。
 渡りあごで外部を収めると、外壁から構造材が突き出した形になり、雨仕舞が悪くなってしまう為です。

渡りあご
 横の梁と縦の桁は段差をつけて、「渡りあご」で接合しています。
 1段下がった梁の上に根太(床の下地)が載って、桁と平らになるようにしています。

隅柱の収まり
 隅柱に差した桁のほぞに外側からくさびを差し込み、固定しています。
 更に、込栓を打って2重の固定をします。

小根柄長ほぞ車智(しゃち)栓打ち
 T字又は十字に横架材が差し込まれる通し柱は、長ほぞを通して反対側の材料に差し込み、シャチ栓を打って固定します。

4方からがんじがらめの通し柱
 この通し柱は、サシやら桁やらで色々な材料が差し込まれて、がんじがらめになっています。

しりばさみ継ぎ
 桁と桁同士を結ぶ方法で、「しりばさみ継ぎ」を採用しています。
 プレカット等ではカマ継ぎがポピュラーとなっていますが、こちらの継ぎ手のほうがしっかりします。

土台と柱
 土台に差し込まれた柱のほぞは込み栓によって固定されます。
 柱のほぞは土台の内部を貫通して基礎まで達しています。

 プレカットでは、土台の中間部分でほぞが終わっている為、土台に柱がめり込んで柱の際部分の床が下がったり、建具の動きが悪くなったりしますが、 長ほぞを採用すれば、そうした減少も軽減できます。

火打ち梁
 通常、火打ち梁は「火打ちボルト」で固定されますが、木が痩せるとボルトがゆるんでしまいます。
 このように、栓とくさびをがっちりと打ってお互いの木を圧縮してやれば、痩せてもしっかりと固定されています。

 また、ゆるくなったら、再び打ってやればよい。

1階建て方終了
 1階の構造ができあがりました。
 古民家の材料を組み合わせて、美しい構造体ができあがりました。

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